パン用語はフランス語が多くて大変ですが、簡単に説明しますので、ぜひ覚えてくださいね!
フランスパンについて
フランスパンの用語と種類を解説するまえに、フランスパンについて簡単に紹介します。
フランスパンの定義
フランスパンとは材料に小麦粉、塩、パン酵母(イーストなど)、そして水だけでつくられるパンです。
本場のフランスでは、朝は焼きたてをバターやジャムを塗って食べ、昼はサンドイッチ、そして夜はスープと一緒に食べるのが基本の食事です。
日本とフランスパン
日本では硬くて棒状のパンをフランスパンとよんでいました。
しかし、近年のパンブームによって消費者の知識が増えたこともあり、パン屋さんも多彩な名称のフランスパンを販売するようになりました。
覚えておきたいフランスパンの用語集
リーンな生地
リーンな生地はパンの主材料である小麦粉、塩、パン酵母(イーストなど)、水だけを材料とした生地です。
フランスパンはリーンな生地でつくられます。
リーンな生地の反対の意味をもつ言葉はリッチな生地です。
リッチな生地はリーンな生地の主材料にくわえて、バター、砂糖、卵、牛乳などの副材料をくわえた生地です。
クラストとクラム
クラストはフランスパンの皮の部分で、クラムは中身の白い部分です。
日本人には意外に感じるかもしれませんが、本場のフランスではパリパリとしたクラストを楽しむのがパンと考えられています。
また、焼き上がったばかりのフランスパンからはパチパチという音がします。
その正体は熱いオーブンの中から出て冷たい外気にふれて、クレストが冷めて縮む音です。
クープ
クープはフランスパンの表面にある切れ目のことです。
リーンな生地でつくられるフランスパンは膨らみにくいので、それを助けるためにクープが必要になります。
クープの本数や大きさによって、クラストとクラムの食感が大きく変わります。
また、クープを入れることで見た目や火の通りが良くなります。
パン・トラディショネルとパン・ファンテジー
フランスパンは形状によって大きく「パン・トラディショネル」と「パン・ファンテジー」の二種類に分けられます。
パン・トラディショネルは棒状のフランスパンです。
一方、パン・ファンテジーは棒状以外のフランスパンです。
フランスパンの分類(パン・トラディショネル)
数多くあるフランスパンの中から、おさえておきたい10種類を厳選して紹介します。
もっともポピュラーなフランスパン「バゲット」
バゲットはもっとも一般的なフランスパンで、長さは約70~80㎝、重さは約300~400gです。
クープは7~8本あります。
バゲットは細長い形状なのでクラストのパリパリっとした食感を楽しむパンです。
大きいフランスパン「パリジャン」
パリジャンはバゲットよりも大きなフランスパンで、長さは約50~70㎝、重さは約500gです。
クープは5~6本あります。
パリジャンのおすすめの食べ方は、大きさを活かしたサンドイッチです。
また、パリジャンよりもさらに大きいフランスパンに、「1kg」を意味する「ドゥ・リーブル」があります。
バゲットよりも日本人向けフランスパン「バタール」
バタールはバゲットを太く、短くしたフランスパンで、長さが40~50㎝、重さは約300gです。
クープは3~4本あります。
バタールはバゲットよりも太いため、クラストよりクラムを味わえるので日本で人気です。
細いフランスパン「フィセル」
フィセルはバゲットを細く、短くしたフランスパンで、長さが40~45㎝、重さは約120~150gです。
フィセルはバゲットよりも細長いので、よりクラストの食感を楽しめるフランスパンです。
フランスパンの分類(パン・ファンテジー)
ブーランジュリーの語源でもある円形の「ブール」
ブールはボールのような円形をしたフランスパンです。
クープは数本がクロスするようにいれられます。
ブールは棒状のフランスパンとはちがい、クラムを楽しむフランスパンです。
ブールはフランス語でパン屋を意味する「ブーランジュリー」の語源になっています。
コッペパンの元祖「クッペ」
クッペはラグビーボールのような形状をしたフランスパンです。
大きなクープが中心に一本だけつけられています。
クッペは楕円形なのでブールとおなじく、クラストよりもクラムを楽しむフランスパンです。
また、クッペはコッペパンの原型で、クッペがコッペに変化したと言われています。
きのこのような「シャンピニヨン」
シャンピニヨンはきのこのような形状をした、丸い小さなフランスパンです。
シャンピニヨンはきのこでいうカサの部分と、軸の部分は別の工程でつくられるため、食感が異なります。
カサの部分はカリッとしたクラストを、軸の部分はしっとりとしたクラムを楽しめます。
シャンピニヨンはプチバゲットと呼ばれることもあるくらい、フランスではポピュラーなパンです。
麦の穂のような独特な形状「エピ」
エピは独特な麦の穂の形状をしたフランスパンです。
エピの形状は細長い紐上に伸ばした生地に切り込みを入れ、左右に開いて成形します。
このひと手間でパンの表面積が増えるため、カリッと香ばしいクラストが特長です。
また、一口サイズにちぎりやすいので、食べやすいというメリットがあります。
日本では生地にチーズやベーコンを練り込んだものが一般的です。
独特な味と風味「パン・ド・カンパーニュ」
パン・ド・カンパーニュは、全粒粉やライ麦を材料としてつくられるフランスパンです。
また穀物や果実のパン酵母をつかうため、すっぱい匂いや味がします。
パン屋さんによってさまざまな形状で成形されるため、決まった形状はありませんがブールやクッペのような形状が一般的です。
フランスの食パン「パン・ド・ミ」
パン・ド・ミはクラストではなく、クラムを存分に楽しむフランスパンです。
中身であるクラムを味わうため、リーンな生地ではなく、少量の砂糖を入れたりします。
形状はパン屋さんによってさまざまですが、角型よりも山型が一般的です。
パン・ド・ミは他のフランスパンに比べると歴史が浅く、20世紀のはじめ頃にイギリスからフランスに伝わったと言われています。