食品添加物とは
食品添加物とは、加工食品を製造するときに使用する物質の総称です。
食品添加物の主な用途は、以下のようなものがあります。
・味を調える
・保存期間を長くする
・色や香りをつける
・加工しやすくする
・栄養成分を増やす
日本では厚生労働大臣が安全性を認めた、特定の食品添加物でなければ使用することはできません。
また食品添加物の使用量も、法律で決められています。
食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。
<食品衛生法第4条第2項>
パンに使われる添加物
実際にパンの製造に使用される食品添加物を紹介します。
イーストフード
イーストフードはパンの発酵を助ける食品添加物の総称です。
イーストフードをパン生地に加えることで、パン酵母の活動が活発になります。
安定した品質のパンを大量に、かつ短時間で製造するための食品添加物です。
また、イーストフードは一括表示が可能な食品添加物です。
食品衛生法でイーストフードとして認められた18種類の物質のうち、2種類以上使用していれば原材料欄にイーストフードと表示できます。
イーストフードとして認められた物質は以下の18種類です。
・塩化アンモニウム
・塩化マグネシウム
・グルコン酸カリウム
・グルコン酸ナトリウム
・酸化カルシウム
・焼成カルシウム
・炭酸アンモニウム
・炭酸カリウム(無水)
・炭酸カルシウム
・硫酸アンモニウム
・硫酸カルシウム
・硫酸マグネシウム
・リン酸三カルシウム
・リン酸水素二アンモニウム
・リン酸二水素アンモニウム
・リン酸一水素カルシウム
・リン酸一水素マグネシウム
・リン酸二水素カルシウム
乳化剤
乳化剤は本来混じり合うことのない、水と油を混ざりやすくする物質です。
パンに乳化剤を加えることで、時間が経ってもパサつきがなく良い口当たりを保てます。
乳化剤と同様の働きをする物質に、手洗いや洗濯に使用する界面活性剤があります。
界面活性剤は肌や服に付着した油分を水と混ざりやすくすることで、油汚れを洗い流してくれます。
そのため乳化剤は石鹸と同じという誤解を生んでしまいますが、界面活性剤と乳化剤は区別されています。
ビタミンC
ビタミンCはパン生地のグルテンの弾性を強化する物質です。
パンにビタミンCを加えることで、グルテンが発酵によって発生した炭酸ガスを多く包み込めるようになります。
そのため、窯伸びが良くなることでパンがボリュームアップし、断面の気泡の状態(すだち)が良くなります。
パンに使用されるビタミンCはL-アスコルビン酸です。
離型剤(シリコン)
離型剤は焼き上がったパンが、焼き型からスムーズに取り出せるようにする物質です。
パン生地を入れる前の焼き型に、離型剤を塗布することで焼き型からパンが外れやすくなります。
また、パン生地を分割する機械である自動分割機(オートデバイダー)の刃に、パン生地が付着するのを防ぐ用途にも使用することがあります。
パン製造の離型剤に使われる物質は、シリコンオイルや流動パラフィンです。
シリコンオイルというと有害物質ではないかと勘違いされがちですが、身の回りでもシリコンは使われています。
また、流動パラフィンはミネラルオイルと呼ばれ、ベビーオイルとして身近です。
食品添加物の正しい知識を身に付けましょう!
本来パンは小麦粉、パン酵母、水、塩だけで作ることができます。
パンを作る側としても、なるべく無駄なものは排除したいのが本音です。
しかし、安定した品質のパンを低コストで生産するためには、どうしても食品添加物が必要です。
パンの添加物は原材料欄に記載されていますので、確認するようにしてくださいね。